ニッティングバード

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横編ニット+異素材の可能性と分析 ★前編★

*横編ニット+異素材の可能性」についてをお話しします。

増えてきた「ニット+布帛」の製品

ここ数年で「ニット+布帛」は一つのトレンドで、異素材同士をドッキングした製品はかなり増えてきました。異素材ドッキングとして提案することで他の商品との差別化しやすく、またハイブリッドな感覚が今の時代感に合っていると思われます。しかしながら多くは、横編ニットではなく丸編で編まれたニット組織の生地(ジャージーやスウェットのような裏毛)と織組織をドッキング縫製した製品です。(丸編ニット+布帛

ブランドとしてニット製品三型から始まり、「ニット+布帛」使いに定評がある、パリコレクションに参加している「sacai」のようなブランドは様々な手法を駆使して「横編ニット+異素材」を表現しています。中国で未だに量産している手横(手動横編機)を使い、編み立てながら途中で編針にレース素材のレース穴にひっかけて行き、ミシン縫製なしでニットとレースを綺麗にドッキングをしています。また、ニードルパンチを使った手法で、「AKIRA NAKA」はウールギャバの生地と同じ糸で編み立てた縄編みの横編ニットを段差なく綺麗なグラデーションになるようにニードルパンチしたジャケットを作っていたり、「TALKING ABOUT THE ABSTRACTION」は古着のアランセーターやフェアアイルセーターを曲線のラインで綺麗にスウェット地と組み合わせたプルオーバーなども記憶に新しい。

広々としたワークスペースのある2Fではワークショップやイベント、展示会などを開催。 作品を展示するための壁面装備や、ゆっくりとくつろげる和室スペースもございます。 スペースのレンタルも行っております。ご要望ありましたらお気軽にお問い合わせください。

GYAKUSOU(NIKELab×UNDERCOVER)

ニットはもっともっとファッションではなくプロダクトによって行くべきであり、時代がより軽く、より機能性を求められているからこそ、自ずとスポーツの分野で使われて続けています。しかしながら、横編ニットは丸編の製品に比べるとコストが高く、スポーツ系の商品として提案がしづらい。また、ニットの知識+布帛・カットソーの縫製技術が必要なので横編ニットを最大限に生かした製品を店頭で見ることはほとんどありません。

今回はGYAKUSOUの「ニットスリーブプルオーバーフーディー」の商品を紹介します。

「GYAKUSOU」とは??
GYAKUSOUはNIKELabとUNDERCOVERによるコラボレートした、ランニングコレクションである。
2010年より毎シーズンアイテムを発表している。

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GYAKUSOU ニットスリーブプルオーバーフーディー
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この製品は、袖が横編ニットで編まれていて、身頃が丸編ニットをドッキングした製品になっています。ラグラン袖のパーツは袖口から編み続きで編まれていて、布帛の製品のように、カットやダーツで形を作ってているのではなく、1本の糸で編み組織、編み方を変えて立体的で、部位によっては伸縮性を変えたディテールになっています。袖ぐりの身頃とのドッキング部分はロックミシンでの縫製です。

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親指口と袖口は横編ニットの良さと言える、縫い代がない状態で編み出しています。袖下と親指下は横編ニット特有の「*リンキング縫製」を使っており、カット縫製されている半成形のニット製品とは細部の仕立てが違いストレスが限りなく少ないです。

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ひじ部分はガーター組織の引き返し編みをしており、編み方でひじの曲線と立体感を表現しています。また、ひじ前後は横の伸びより、フイット感を重視しているためガーター編みではなく、横の伸縮に特化した1×1リブの編み組織で形成されています。機械で編んだハイゲージの製品ですが、編み方の構造自体はアパレル関係の人より、手編みをしている人の方が理解しやすいと思います。素材はナイロンとポリウレタンを使い、「セーターを編む技術を最大限に生かしたスポーツ用製品」としてはかなりの品質の高いの横編ニット製品になっています。(しかも日本製ではなく中国製)

絶対に真似出来ない技術とコスト

横編ニットを使ってスポーツウェアを作る企業として、NIKEは他のブランド他の追随を許しません。
このニットを作るために、おそらくは糸の専門家、技術者による編み機のプログラミング、横編ニットと異素材をパターン縫製する知識や背景等、様々な要素が組み合わさってテクニカルなニットウエアが出来ています。

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またニットをただ単純に、リンキングや、カット縫製をするなら普通のニット工場でも出来ますが、写真左にあるようなスポーツ系でも特殊縫製にあたるポケットや、写真右にあるようなリフレクタープリントでブランドネームを入れようと思うと、ニット工場では出来ません。ブランドやメーカーがこのクオリティまでの製品を作ろうと思うと、一つの工場だけでは出来ないのでコスト面とロット面で諦めざる負えません。NIKE規模の自社の背景や縫製ラインを持つことによって、横編ニットを使い異素材とドッキングしたテクニカルなニットウェアが出来るのです。

リンキングについては過去記事*リンキング(横編みニットの縫製方法)についてを参照してください。

*横編ニットについては過去記事編物(ニット)の種類についてを参照してください。

横編ニット+異素材の可能性と分析 ★後編★はまた後日に。NIKE TECH KNITについて言及していきます。


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