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シーティング編み

シーティング編みを知っていますか?「シーティング編み」とは「ふじわらまいか」さんが考案した特殊な不織布のシートに引き抜き編み編んで装飾していく誰でも編める全く新しいタイプの編み物です。簡単でありながら、シートの仕組みと合理的な編み方で様々な立体的な作品や変わった編みぐるみも作る事ができます。特許第4843761号を取得し、日本発明振興協会「第29回優秀考案賞」や日本ホビー協会「第22回ホビー大賞」なども受賞している「シーティング編み」の魅力に迫っていきたいと思います。

シーティング編みはどのように生まれましたか?

ー2008年のある日突然、シートの土台となる切れ目の線が突然湧いてきてました。この時は全く違う仕事もしていたので「編み物」用のシートを作るとは何もわからないままただただ自動書記のようにアイディアが舞い降りてきました。

編み物用のシートを作るとは思っていなかったのに、そんなアイデアが出てきたのは面白いですね。シートにはどのような工夫がされていますか?

ーこのシートは1cの切れ目(穴)と切れ目と切れ目の間は5mmの間隔が、隣の切れ目とは7.5mm離れていて方眼のようになっているのではなく半目ずれて交互に切れ目が入っています。不織布のシートは黒と白の2種類あります。

不織布を土台に編んでいくんですね。どのようにして引き抜き編みをしますか?


-シートの右下の切れ目がスタートです。普通の編み物は横に編んで面を構成していくと思いますが、シーティング編みは普通のかぎ針を使って縦に引き抜き編みをしていきます。最初は切れ目から糸を引き出し、

-次は丸い穴に引き抜きをしていきます。一段目は切れ目に引き抜き、丸い穴に引き抜きの繰り返しです。この時、引き抜き編みは強く引っ張らずにゆったりと編むのが綺麗になるコツです。

-横にいくときは隣の切れ目に引き抜き編みをして横向きの編み目を作ります。

-シートをくるっと回してUターンをして同じように引き抜きをしていきます。
2段目からは1目編んである切れ目に引き抜き編み、編んでいない編み目に引き抜き編みと繰り返して交互に編んで上に進んでいきます。シーティング編みは一つの切れ目に往復しながら、2目ずつ編んでいって面を構成していきます。


表から見た編み目

裏から見た編み目


-ハサミを使うとき2mmほど残してカットしてください。切れ目がずれているのでギリギリところで切っても、毛糸さえ切れなければ編み地が解けることがありません。

切れ目がズレているというのはここに繋がるんですね。


-まっすぐ編んで正方形や長方形を作ることで平面でコースターのようにも使うことができますし、折り返して端を処理してポーチやポケット、バックを作ることも出来ます。写真のキットは絵本と一緒に考案したあみぐるみ「アルフォンヌ」です。シートがベースとなっているので普通のあみぐるみのように中綿が入れる必要はなく空洞が生まれるのを利用してコロコロ鳴る鈴を入れてあります。
これもまっすぐ長方形に編んでカットして袋状にしただけなので、同じ大きさのあみぐるみを細編みで作るとは比べものにならないくらい短時間で出来ます。

思った以上に簡単に出来そうですね。シーティング編みはどんな人におすすめしたいですか?

ー考案者なので先生と呼ばれていますが、私自身「編み物」自体は上手くありません。
そんな私でも出来るのは、普通の棒針編みやかぎ針編みより難しくないからです。一つ一つの目も大きいのでみやすく、小さなお子さんから視力が落ちてしまったご年配の人それから左利きの人でも問題なく幅広く編むことができます。

子供からお年寄りまで出来るというのは素敵ですね。

-はい。その他にもシーティング編みは不織布に引き抜き編みをしているだけなので普通の編み物のようにカーリングしなく、また様々な太さの糸を使ってもサイズが変わることがなく安定した編み目の作品が出来て、メリヤス編みとは違って横糸が無いので、糸量が少なく軽量で仕上がります。真っ直ぐ編むだけではなく、円状に編んだものをくっつけて球体にする応用方法などあり、16通りの編み方がありますのでさらに楽しむことが出来ますよ。シーティング編み教室に通ってる聴覚障害者さん達が今年の7月に、仲間を集めて講習会を企画してくれています。

シーティング編みの普及と社会貢献

考案者のふじわらさんは「シーティング編み」の特許を持っていますが、これから編み物をしてみたい人、編み物をしている皆さんが自由にシートを使い「シーティング編み」が広がっていくのを望んでいます。最終的には学校の教材や老人ホームなどに役に立って社会貢献できたらと思っているそうです。

「シーティング編み」は手編みやかぎ針編みに比べ、「面積に対して編む時間が比較的に短い」ことで、編み物を始める人へのハードルを低く、「編み物」を理解することの一つの手段やきっかけとしてとても良い教材だなといえます。
ふじわらさんは現在「シーティング編み」を普及させようと、家族を関西に残してひとり千葉に移り住んで関東を中心に活動しています。彼女と情熱と喜びが「編み物」を通して一人でも多く伝わったらと願っています。


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