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モヘアがなくなる?繊維業界の未来はどうなるの?!

「モヘア」がなくなるかも知れない。繊維業界の極々一部でそのような話題が出ました。

この話題の事の発端は、「南アフリカの牧場作業員がヤギを虐待する映像」が出回り大手アパレルのH&MやGAPなどがモヘア素材の使用を中止を表明、ファーストリテイリング社(ユニクロ)も2020年までに中止する方針を決めました。

映像だけが多く拡散され、本当の事実が伝わらずコンプライアンスに厳しく、イメージが悪いならすぐに停止・廃止するということに疑問に思いましたので今回この事件についてまとめてみました。

そもそも「モヘア」って?

獣毛繊維(動物)繊維の一つで、アンゴラ山羊から取れる毛が「モヘヤ」に分類されます。品質表示で「アンゴラ」と呼ばれるものはアンゴラウサギを指します。

手編みや手織りをする人の中では好きな人も多いのでは?「モヘヤ」は獣毛の中でもとても光沢と軽さがあり、吸湿性のある繊維になります。また刺し毛があるため、肌に直接触れると、チクチク感じやすい(素材の質、混紡、個人差によります)また繊維が抜けやすいデメリットもあります。
家庭用品質表示法ではモヘアではなく「モヘヤ」というのが正しい表記です。

今回の事実とモヘア・サウス・アフリカによる最終声明文による経過

映像の真相
調査によりビデオ映像で毛刈りの映像が撮られたのは「2件の農場」であること、そしてこの2件の農場の毛刈りはいずれも同じ「受託契約毛刈り業者」によって行われたことがわかりました。

要求
この受託毛刈り業者に対して明白な詳細な報告を要求、違反行為に関与した人物に対する懲戒処分、モヘアサウスアフリカの指針に違反しないよう予防対策を確実にする報告の義務を毛刈り業者に要求しています。

農場の処分と報告義務
農場はモヘアオークションの参加停止処分と監査機関は、次回の毛刈りが行われる日時をモヘアサウスアフリカに報告をすることが求められています。第三者期間と共に業界の持続の可能性を目指すことを確実に順守させるために毛刈り現場に立ち会い確認をします。
また、the NSPCA(全国動物虐待防止協議会)に全面協力の申し出をしました。

他の原料の過去事例

今回の「モヘア使用停止問題」の他に近年では下記のような他の原料も一部規制されています。
ミュールジングウール廃止
一部のオーストラリア産の品種改変されたメリノ臀部や陰部のシワに糞がたまりやすくウジ虫がわいてしまいます。それを阻止するために無麻酔で皮膚や肉の一部を切り取る行為がされています。ニュージーランドではメリノ業界が2010年12月までに自主的に廃止しました。

株式会社良品計画(無印良品)のH&M、アバクロンビー&フィッチ、GAPなど多くのブランドが「ノンミュールジングウール」しか使用しないことを決めています。

アンゴラウサギ廃止
アンゴラは羊のように毛をカットされるのではなく、アンゴラウサギの毛を引き抜いて作られてる残酷な背景があります。アンゴラの製品もグッチやH&Mを代表とする多くのブランドが停止宣言しました。

毛皮産業の流れ

「ファーフリー」の流れが主流になり、グッチ、ステラマッカートニー、ヴェルサーチ、アルマーニなどのハイブランドからH&MやZARAなども毛皮の使用をやめることを表明。エコファー(フェイクファー)の質が格段に向上したというのも影響しています。

すぐにモヘアをなくすということ

南アフリカを中心とするモヘアの生産には約3万人の人が携わっています。
今すぐに「モヘア」をやめるということは多くの労働者と約80万頭のアンゴラ山羊を路頭に迷わせ、産業を壊滅的に追い込むことにつながります。

アメリカの映画で注目された、「和歌山県太地町でのイルカ漁業」も欧米諸国は捕鯨停止をたどるなか、約400年の歴史と伝統と文化である「イルカ漁」は紀南地方の重要な産業の一つになっています。

価値観の相違と選択の自由

世界的に「倫理的・道徳上」という意味の「エシカル」という言葉が広がり、サステナブルな人間社会や地球環境が見直されています。

また、動物愛護的には「フリーファー」は賛同できる取り組みであるが、アクリルやポリエステルなどの石油系繊維を主に使っている「エコファー」は生分解できなかったり地球環境を壊している側面もあることを忘れてはいけない。

極端に菜食主義者になればいい!、動物館や水族館なんて悪だ!という考えを押し付けるのではなく、
消費者である私たち自分自身が「生産の過程」や「事実」を知り、「エシカル」や「サステイナブル」の意味を考え、議論をすることが大切な一歩目だとおもいます。

Knittingbird 田沼


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