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プログラミングで編み物!?中学生が編み物業界を変えるかも

-プログラミングのお祭り「Why!?プログラミングフェス」-という小・中学生がプログラミングした作品を紹介するNHKのTV番組で、「編み物支援ツール」というプログラミングソフトを作り、アワード部門最優秀賞を受賞したtakenokoくんこと「武田和樹」くんにインタビューをしてきました。

「編み物をやったことがない中学生の男の子が母親のために編み物で配色が簡単に編めるソフトを作ってしまった」という事実はとても驚きですが、2020年から小学校のプログラミング教育が実地されることも踏まえて、「教育」というキーワードで編み物好きな人以外にも多くの人に今回の記事を読んでいただきたいです。

Scratch(スクラッチ)というソフトについて


KNITTINGBIRD田沼(以降K):「編み物支援ツール」についてお話ししていただく前に、「編み物支援ツール」を使うためのScratch(スクラッチ)というソフトについて教えてください。

takenokoくん(以降T):スクラッチはパソコンで使える無料の簡易プログラミングソフトです。「Why!?プログラミングフェス」も監修している阿部和広先生が日本に広めた第一人者と言われています。オンラインでできるものとダウンロードしてオフラインで使えるソフトとして使えるものがありOSとしてはwin、Mac、Linuxで使うことで出来ます。阿部先生はプログラミングを教える小学校の先生のための指南書も出しています。

K:ブロックを並べるだけで、自由にインタラクティブストーリーやゲーム、アニメーションも作ることができるんですね。8歳から16歳向けのデザインで150カ国以上、40以上の言語に対応しているとは驚きですね。また、takenokoくんは作品をネット上にアップしているから他の人も共有できるんですね。

T:そうですね。「編み物支援ツール」以外にも「筍を育てるゲーム」などアップしています。

K:学業があると思いますが、こういうゲームはどのくらいで作れるものなんですか?

T:最高で半年ですが、単純なゲームで一日で使ったものもあります。「編み物支援ツール」は夏休みを使って製作しました。

K:学校は、プログラミングやパソコンの授業など特化しているのですか?

T:現在公立中学の2年生で、文章をパソコンでタイピングするという授業はありますが、もともとパソコン部だったのが将棋部になってしまい、パソコンやプログラミングを学べる環境とは程遠いです。ですのでほぼ独学で学び、サークルやロボット教室は以前通っていました。

K:そんな環境なのに勉強する意欲が素晴らしいですね。他にも賞とかは受賞しているのですか?

T:小学校4年生の時にScratchで作った「筍を育てるゲーム」で「子供の科学」の賞をいただいています。

K:小学生の時も受賞しているなんて素晴らしいですね。

編み物支援ツールの使い方

T:母のために作った編み物支援ツールは自分で絵を描く機能のほかにも外からscratchに読み込んだ絵から編み図を製作出来ます。次の日からも再開できるように編み図をセーブとロードができるようになっています。

現在はスクラッチ3.0にバージョンアップされソフトを使うのに不具合が出てしまったので、旧verをダウンロードして使う方法しかありません。また画像を取り込む段階は複雑の工程があり、scratchに慣れてないなかったりPCに詳しくない母親だけでは使用するには難しいです。

T:まず描いたイラストや写真を読み込んで、それを使ってドット絵にしています。
ドット絵化ツールとかで8色以内に色味をおさえています。ドットの絵としてそのまま書くことが出来るので、絵がかけているところは加筆修正をします。

K :最大でどのくらいの大きさのものを作ることができますか?

T:480目✖️360段の大きさは出来ると思いますが、色を一色使うのに1ブロック使わないといけないので、スクラッチ自体があまり重い処理が出来ないので増えれば増えるほどPCが動きづらくなってしまいます。


絵の大きさや、荒さによって目数や段数が決まりますが、母が「目数が多すぎると編みづらくなってしまう」ということなので40目から60目ほどに抑えてます。

T:手動で目数と段数を決めることも出来ますが、写真を取り込んで自動で検出することも出来ます。ドット化と目数段数が決まると、編む方向と配色を見ながら編むことができ、一段読み終わったらエンターを押すと段数が変わり進みます。一日で編めないことも多いので書き出しでセーブをして、次の日に使えるよう編み途中で保存できるようにしています。

K:編み物やっている人は、方眼紙などを使って柄を作っていますし、PCを扱える人もイラストレーターなどのソフトで一つ一つ手作業で作っています。自動でしかも今編んでいる段がわかるなんてとても画期的ですね。

タケノコくんは現在中学校3年生ですが今後の活動を教えてください。

T:今現在、ロボコンの全国大会があるので力を入れています。

K:ゲーム自体好きなんですか?

Tパソコンのゲームもたまにやりますが、どちらかというと作るのが楽しいです。

K:高校の進路もそういう学校を探していますか?

T:そうですね。プログラミングに強い学校を探している最中です。将来的にもそういうことをしたいと思っています。またscratchだとどうやっても作れないものなどもあることと、ちゃんとした言語で作ってリリースした方が多くの人に使ってもらえると思い「未踏ジュニア」に応募したところ採択されました。新しい編み物支援ツールを製作中です。

K:17歳以下の人のために専門家による指導や開発資金の援助を行うプロジェクトなんですね。これからも応援しています。今回はインタビューを受けていただいてありがとうございました。

編み物は他分野と混ざりアップデートされていく

今回インタビューでは中学生ということもあって、takenokoくんのお母さんにも同席していただきました。

息子が母親のために作ったから嬉しいということだけでなく、お母さんの「彼はシャイですが、作品を作って発表するのは好きなので、プログラミングは自分を表現できるものだと思っています。ただゲームを作るのではなく人の役に立ったり使えるものを作りたいという思いが芽生えて来ているのでは。」と言う言葉がとても印象的でした。

takenokoくんが大人になって「プログラマー」になったらお仕事がしたいと勝手ながら思いました。

昔に比べて編み物をする男性が増えているのは事実だけど、ユーザーとして直接編み物をするのではなく、これからは編み物を取り巻く環境を作る男性が増えるのではと予想しています。

今後もtakenokoくんの活動や「未踏ジュニア」のプロジェクトについても追っていきたいと思います。

編み物支援ツール

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