「手横と手横の製品」について話したいと思います
手横とは「手動式横編機」の略で世界のニットの生産の9割(ほとんどが中国生)を作っていると言われています。手動によりキャリアを横に動かして編んで行く機械で、日本にも戦後、ニットの生産が始まり、手横によるニットの製造が増えた時期もありましたが、人件費がかかるのと工業用のニットマシーンの普及により今日では日本で量産のために使われている手横はほとんどありません。
手横はどのような編方が向いているのか
手横はリ天竺やリブ、畦など目を前後に移動しない編方に向いています。交差柄や寄せ柄リンクス柄は編事は出来ますがあまり向いていません。ガーター編のように毎段前後に目を移す必要のある編地は不得意だと言われています。(手で変えるため目が落ちる危険性と、編立時間がかかることにより工賃が上がるので向いていません。)
手横の活用方法
自動機のように柄組の必要がなく、すぐに編立可能であるため、スワッチを出したり試編に向いています。直線での編立、目数の少ない物に向いているので、前立てや総針、1×1リブ等の付属の編立に適しています。(自動機は柄組と言ってニットのCADの用なものをプログラムする事から始まります→これが時間とお金がかかります。)
手横の成形による各部パーツの特徴(ベーシックなクルーネックのプルオーバー)
手横はニットを編うえで基本的な技術の「引き返し編」が出来ません。(引き返し編みとは針をループに掛けたまま、編残して傾斜を作る方法です。)前身頃では肩傾斜をとらず、後ろ身頃で前身頃、後身頃の肩傾斜を一緒にとります。またニットは伸びて体に馴染むということと、編立の時間によりお金がかかる特徴があることから、基本的に直線で成形を行い、袖山の丸みや後襟ぐりは成形しません。布帛のパターンを勉強して来た人は驚くと思いますが、手横による基本的な成形はこのような平面的で直線的な形で成形されています。このパーツをリンクギングにより縫製をするとお店で売っているニットの形になります。
手横で出来上がった製品は、引き返しではなく内減らし(端の目から2目以上内側に入った目を重ねて減目すること)をすることによってポツポツと編目が重なって出来た「ファッションマーク」という独特の印が付きます。
主に大減らし(10目程度内側に入った目を重ねる事)をすることよってとても目立つファッションマークが付きます。傾斜が急な角度の成形で大減らしは必要となるので、肩傾斜や袖ぐりなのでこの印を多く見る事が出来ます。最近ではこの手横独特の印を一つのデザインとして見直されており、わざわざファッションマークを工業機で再現する商品も出て来ています。
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