撚糸とは?
撚糸(ねんし)とは「繊維がばらばらにならないようにねじりをかけること」で、糸は撚り(ねじり)をかけられることによって毛羽立ちにくいひとつの束になり、糸としての強度が出て初めて織ったり編んだりにするための糸となります。
糸の原料となるスライバーと比較するとわかりやすいと思います。
左が撚糸をしていないスライバーそのもの。右が撚糸をした糸。
スライバーそのものだと、繊維が絡み合っていないのですぐに切れてしまいます。機械編みではより、糸の負荷がかかり切れやすいので必ず撚糸は必要になります。
撚糸の種類
撚糸には『S撚り』と『Z撚り』があります。
上の方向にねじってあるのをS撚り、
本数により撚糸された糸の呼び名
単糸(1本の糸のみで形成された糸)はどちらかの撚り方で撚られています。
どちらか片方の撚り方で撚られているため*斜行しやすく、編み物で使われる単糸は撚りが甘く、切れないように太目の糸が多くなります。
*1 斜行とはニットの専門用語で、強撚糸や麻のような硬い繊維や撚りのバランスが悪い糸で編み立てると編み地の目面が斜めに曲がることです。斜行する糸は成形が大変難しいので、マフラーみたいな真っすぐ編むものにわざと使って独自の表情を出して製品にすることが多いです。
双糸(2本の糸で形成された糸)はZ撚り(単糸)にかけた2本の糸をS撚りにします。またS撚り(単糸)とZ撚り(単糸)の糸をS撚りにします。
三本子(3本の糸で形成された糸。みっこと呼びます。)はZ撚り(単糸)にかけた3本の糸をS撚りにします。
四以上は多本子(たっこ)と呼び、同じような撚り方で撚られそれぞれの糸が形成されます。
「織り」に使う糸のほとんどが単糸の糸が使われています。
これは2本以上で撚糸している糸は、1本より撚糸加工が高くさらに糸量も増えるので値段が高くなってしまうからです。
また、「編み」に使われる糸はほとんどが双糸になります。
これは単糸だと斜行してしまったりきれいなループが編めない、細番手の単糸は切れやすく機械で編むのに切れてしまうという理由があります。
(もちろん単糸の糸を編むこともあります。)
撚糸の強さによる呼び名
繊維を一方向に引きそろえて甘く(ゆるく)撚ってあるような糸を『ロービング糸』と言います。この糸は手編み糸で良く見られます。(ある程度太くないとすぐに切れてしまうので手芸糸に多い)撚りが甘いため、繊維そのもののふわっとした風合いが出ますが、同時に*ピリングになりやすいです。
*2 ピリングとは糸が摩擦により毛羽立ち、毛玉が生じる現象のことです。
また、通常よりもさらに強く撚った糸を『強撚糸』と言います。強撚糸はシワになりにくく、シャリ感とさらっとした独特の風合いが出ますので夏物のニットに使用されることが多いです。(織り生地では、縮緬の生地として使われたり、麻を使うと高くなってしまうのを擬似麻とし一部強撚糸を使ったりします)そのまま編むと斜行してしまいますが。ニットの世界では斜行をメリットとして考え使われることも多々あります。
この記事を読んだ後に家庭用卓上撚糸機「ねじりっこ」を読むとより「撚糸」について理解できると思います。
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