横編ニットの特殊な縫製方法の「リンキング」について話したいと思います。布帛はパターン通りにカットしたパーツを本縫いミシンや、ロックミシンなどを使用しドッキングさせます。
横編のニットは主に、成形編したパーツを「リンキングマシーン」と呼ばれる機械で「リンキング」という特殊な方法で縫製されます
リンキングマシーンの種類
もう製造は中止していますが、シルバー精工という会社が家庭用の編機向けに「ダイヤルリンキングマシーン」を発売していました。普通のミシンのようにコンセントにつないで足で踏んで縫製するタイプで、家庭器(家庭用編機)で7G前後の編機で編んだ編地を縫製するのに向いています。
工場では主に、ドイツ製のとても大きな工業用「サーキュラーリンキングマシーン」が使われています。サーキュラーリンキングマシーンは、放射状に針が配列されているのでどんな長さでもリンキングできます。
「八角(やすみ)」と言われる工業用フラットリンキングマシーン。(ヤスミさんという人が開発したので八角と呼ばれます)手動式で主に直線用に用いられます。長さに限りがあるのが難点です。
リンキングの縫目
見た目は環縫いミシンのように表にステッチ、裏がループ目に見えますが、環縫いミシンとは違い、ループ一つ一つの穴に通して縫製をしています。
リンキングの糸
基本的には共糸で縫製されますので、生地になじみ目立ちません。糸が弱いときは、同じ太さの糸を使うか、細い同素材の糸とミシン糸を引きそろえて縫製されることもあります。
リンキングは布帛のように縫う距離をcmやmmで行うのではなく、ループに目を刺して縫製するので縫いズレが起こりにくいのが特徴です。布帛の生地に比べ、横編のニットはは肉厚なので、布帛のような縫製、縫代の始末は向いていません。リンキングは編目のループとループを縫い止めるので、縫代が限りなく薄くすっきりと仕上がります。また編目を追って縫製するので柄合わせが簡単に出来ます。
ジャージーなどで出来たカットソーなどは布帛特有の縫製するので、襟ぐりの小ささに限界があり、頭を通して着脱するうちに伸びてしまう事が多々あります。しかしリンキングされたセーターなどは、首周りが狭くても頭をすっぽり入れることが出来るのにもかかわらず、襟ぐりも伸びません。これはリンキングに伸縮性があるためです。このような特徴があるため、洗濯後も型崩れがしにくくなっています。
「リンキング」とはまさにニットのための縫製と言えます。近年、リンキングを出来る職人さんが減っています。特にハイゲージのニットとなるとループ一目、一目を見るには、細かすぎてご年配の職人さんには難しくなっているのが現状です。
ニットに必要不可欠なリンキングの技術を失わないためにも、このブログで紹介させていただいた福島県の「株式会社大三」のニッターさん達の様に若い職人さんを育ててもらい、リンキングが出来る職人が増えれば良いなと思います。
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