家庭用編み機(以後家庭機)はセーターや、小物を編むだけでなくリリアンの糸として編むことも出来るんです。
その編んだ糸を、細い機から太い機で使える糸として使うのも良し。
また手編み用のオリジナルリリアンにしたら市販している糸との差別化もできてより作品に個性が出そうですね。
今回は針が直線上に並んでいる家庭機をどうやって筒状のリリアンにして編んでいくのかを紹介して行きます。
リリアンの構造
おもちゃのリリアン機なども見たことがある人はわかると思いますが、基本的にリリアンは筒状に編むので針が円上に並んでいます。
以前紹介した「ゴム編み機」を持っている場合、袋編みにすることで簡単に筒状に編むことができますが、今回は一般的な家庭機のみで編む方法を順を追って説明していきます。
リリアンの編み方
まず3〜4本を目処に針を「E」の位置を出します。
キャリッジを右側に置いて、写真のようにまき目を作って針に巻きつけていきます。
すべり目の右側のボタンを押し。
スレッドレバーを平編み(下)からスレッド(上)にセットします。
(スレッドレバーは最初に編み出ししやすいように設定するので。何段か編めたらひらあみの位置に戻してください)
糸端を下に軽く引っ張りながらキャリッジを左に動かして一段編みます。
右にキャリッジを動かす時は「すべり目」にしているので編まれません。
編まれないことで、往復編みではなく3目目の次が1目目になることでリリアンのように筒状に編んだ形になります。
これを繰り返すことで3目のリリアンをテープ状に編むことができます。
*ワンポイントアドバイス
普通に天竺を編む時の「適正の度目」より1目盛小さく(度詰め)編むことで糸渡りが短くなりリリアンの形に近づけます。また、細い幅で編んでいく場合重りを使うのは、付けづらいのとすぐに重りを上に上げなくてはいけないので重りの代わりに地面方向に手で引っ張るように編んであげると編みやすくなります。
糸が最後まで編めたら、糸始末は目(ループ)そのものに糸を入れてしまえば解けることはありません。
編んだリリアンの糸はアイロンのスチームを軽く当ててあげると、目面も安定し風合いも良くなり編みやすい糸に仕上がります。
目数多くする場合は糸渡りを「タッピ返し」します
もう少し幅広のリリアンを使う場合、目数は7目程度が限界です。(細機の場合)
先ほどと同じようにキャリッジを左右に動かす時に、片方側だけ滑りを入れることで最初の目と最後の目がつながります。3目編んだリリアンに比べ7目目と1目目の長さ分糸渡りが出ます。
その糸渡りを「タッピ」を使って1目分をタッピ返しをして表目を編むことによって筒状のリリアンになります。
最後の一目までタッピで編めたらその目を針に重ねて、3目のリリアンと同じようにそれぞれの目に糸を通したら完成です。
往復で編むのと何が違うか?
すべり目を使わず、往復で天竺を編むことで両端がカーリングする天竺のテープを編むことができます。
3目〜4目で編む場合、見た目はあまり変わりませんが、中心が空洞になっている「リリアン」の糸と、カーリングされて目が詰まる(密度が上がる)「天竺」のテープではコシが違くなります。
また1段ごとに編める天竺テープに比べ、すべり目を入れるリリアンは2段ごとに編めるので時間は倍かかってしまいます。
7目で比較してみるととてもわかりやすいです。
同じ目数、同じ度目で編んでも、横幅も違ければ、厚みも違くなってます。
カーリングした天竺テープはコシが出て少し硬くなります。
Tシャツヤーンもこういう仕様になっているため編んだあとにコシのあるテープになっています。
リリアン糸を手編みで編んでみた
作ったリリアン糸をかぎ針と棒針で編んで見ました。
12mmのかぎ針を使ってモチーフを編みました。指で編んでもいい感じに仕上がりそうです。
棒針も12mmを使用。天竺テープよりやはりリリアンで編んだ糸の方が目面も綺麗に上がりました。
リリアンテープをそのまま使ってトートバックの取っ手部分に使ってもいいかもですね。
家庭機を使ってリリアン糸を作り出す楽しさ!
セーターや小物などの作品を編むのではなく糸そのものを作り出してしまうという、従来の家庭機の全く違った使い方は編み機ファンだけではなく、多くの手編みユーザーの人も家庭機の新たな魅力の虜になってしまうのでは?
リリアンではなく天竺テープなら横幅の縛りがないので、超極太の糸を使って手編みだけでなく指編みや腕編みに使ってみても面白いと思います。
編み物は手芸の枠に捉われない、本当に深い分野だと思います。
家庭機を使って作品の幅を広げたいニッターさんは是非試してみてくださいね。
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