「編み物」や「ニット」の言葉の意味を考えたことありますか?
日本語としての「編み物」と英語としての「Knit(ニット)」はそれぞれ多義的であり、「編み物」イコール「ニット」とは言えない部分があります。
今回はそれぞれの意味の本質についてひも解いていきます。
辞書での意味
編むという言葉は大きく分けて3つに分けられます。
①糸や籐や髪などを互いに絡み合わせて、一つの形を作ること。
②映画にもなった三浦しをん氏による小説『舟を編む』にあったように、文章を集め、編集して本を作ること
③スケジュール・計画を組むということ。
日本語で表すととても広い意味で使われていることがわかります。
普段私たちが「編み物」としている使っている①の意味だけでもわかりづらいので一度英語で表した意味を考えてみましょう。
英語で表すと違う意味が見えてくる
辞書での①の意味の通り、日本語での編むは、「組み合わせて一つのモノをつくること」髪の毛を編み込むこと、藤や竹を編むことも同じ「編む」という言葉が使われます。
しかしながら、髪の毛を編み込むことは、「Braid(ブレイド)」という言葉を使います。
そして、藤や竹を使い籠バックなどを編むことには「weave(ウィーブ)」という単語を使います。
これらは、ただ単に日本語の「編む」という意味の「組み合わせて一つのモノをつくること」ということではなく、モノの構造や技法で区別していることがわかります。
「Braid(ブレイド)」は組(組紐)を表す単語で、髪の毛を編み込んでいる構造は、「組」の構造と同じです。
構造的なことを含めると編むではなく「髪の毛を組み込んでいる」という言葉の方が正確なのかもしれません。
同じくマクラメ編みも「編み」という言葉を使われていますが、技法的には「結び」を使っているので「組」の構造です。
また、「weave(ウィーブ)」は織るという意味があり、糸1本を使って構築され「編みの構造」ではなく、藤や竹を編んでいる構造も、経糸と横糸で構築されていることから「織る」という言葉がしっくり来ます。
↑経糸と横糸で構成された平織の構造↑
同じ編みの構造でも言い方が違ってる
棒針や、棒針編み、機械編み(横編み、丸編み、経編)を「Knit(ニット)」
基本的な「編み組織」はループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて連続してループを作り面を形成されます↑
「編み物」≒「ニット」
毛糸などを使い、棒針(機械編みも含む)やかぎ針を使ってループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて連続してループを作り面を形成し布地や製品をつくること、またその行為そのものを「ニット」と言います。
フランス語が語源の「Crochet(クロシェ)」は「かぎ針」「かぎ針編み」「レース編み」を指します。
日本語での「編み物」は籐や竹で編んだ籠バックの工芸品や三つ編みなども「編み物」と呼びますが、
私たち直接的に「編み物」として使っている英語での「ニット」や「クロシェ」という言葉は、出来上がったモノの構造、技法が違うことから英語では区別されています。
「編み物」=「ニット」ではなく、「編み物」≒「ニット」。
英語での言葉の意味はより本質を表しています。
「編み物」の技術や構造を理解することでより編み物やニットについて深く知ることが出来ます。
より「編み物やニット」について知りたい方は、ニッティングバードの過去の記事をおススメします。
織物と編み物(ニット)の違いについて