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大阪阿倍野の毛糸屋さん「EYLUL」(エイリュル)


久しぶりに素敵な毛糸店の紹介です!

大阪は阿倍野にお店を構える毛糸屋さんEYLUL(エイリュル)さんにお邪魔してきました。
海外毛糸をメインに取り扱い、ここでしか取り扱っていないストーリーのある魅力的な糸を取り扱いしています。

オーナーの小嶋さんにお店の魅力や始めたきっかけなどいろいろ聞いてきました。

EYLULという名前の由来とお店を始めたきっかけを教えてください

EYLUL小嶋:EYLUL(エイリュル)という名前はトルコ語です。もともとイスラムの人が使うスカーフに装飾をあしらった「トルコ手芸」のオヤがしたくてトルコ語を習い始めました。今だったら本とかyoutubeとかですぐにでも作れる環境がありますがその頃はなかったので、まずはトルコ語を習おうと思い行き始めました。行ってみるとそこにいらした方がたまたま近所の方でした。

オヤはスカーフに「タティングレース」ではなく「ニードルレース」であしらわれているんですね。

EYLUL小嶋:そうですねレース針ではなく縫い針で作られています。もともとオヤは販売しているものではなくて、お母さんがおうちの中で使うスカーフに愛想がないから縁をつけるというの始まりで今ほど一般的ではありませんでした。

トルコの方と仲良くなってお仕事にすることになり、現地に行ってオヤそのものや糸を仕入れて最初はネットショップメインで販売していました。しかし、トルコにお嫁に行った日本人女性が現地のネットショップで販売しているのには太刀打ちできなく。またオヤの糸はミシン糸みたいな細さと量なので250円くらいで一つ買ってしまったらずっと使えてしまうので、雑貨屋としての商売的には難しかったです。

トルコの雑貨屋さんから毛糸をメインに扱い始めたきっかけは何かあったんですか?

EYLUL小嶋:トルコ雑貨屋を始めた当時は暇な時間があったので昔からやっていた編み物をまた始めました。

東京に住むアメリカ人の友達から編んでいるのが好きだったら糸を売ればいいと言われ、毛糸は種類が多すぎてわからないと言いましたが、「好きなものを売れば良い」という言葉をもらって毛糸屋さんをやることになりました。

素敵なきっかけですね、エイリュルさんではどこのブランドの糸を扱っていますか?

現在では20ブランド10カ国以上の糸を扱っています。トルコ毛糸URTH(アース)、アメリカのcasacade yarns(カスケードヤーン)、ルーマニアのMoeke yarns(モエケヤーン)、ニュージーランドのzealana(ジーラナ)など海外の糸が中心で、一部日本の糸や編み針なども扱っています。

日本ではここでしか扱っていない糸もたくさんあるんですね。どのあたりがイチオシの糸ですか?

EYLUL小嶋エイリュルの糸で一番代表的なのがオランダ在住のルーマニアの方が作っている「Moeke yarns」(モエケヤーン)のElena(エレナ)という糸です。

ルーマニアの羊でおばあちゃんが手紡ぎしていたような毛糸を作りたいということで、100年前の機械で紡績しています。

貧しいルーマニアの環境に仕事を増やしたいという思いから作り始めた糸です。オーナーさん自身が自分で染めています。

昔は不純物が混ざってたり糸の太さが曖昧だったりして品質が低かったのですが最近ではかなり向上しています。

今の所日本でではエイリュルだけ取り扱っていて、今では世界中で人気の糸になっています。

海外の糸メーカーあるあるですね。日本企画だと堅牢度などしっかりしすぎているので、海外の企画は色味などの感性だけでなく、その辺りの甘さを含めて糸の面白さや魅力はありますからね。

EYLUL小嶋:ニュージランドのzealana(ジーラナ)は害獣として殺処分しているポッサムネズミの原料を使っている糸があります。
ポッサムはオーストラリアでは保護されているので殺すことができません。ニュージーランドではポッサムによる環境破壊が問題視されているので殺処分して糸として利用しています。

ウールやカシミヤよりも暖かいと言われている原料ですね!ニュージーランドとオーストラリアでは扱いが天と地の差ですね。

EYLUL小嶋:zealanaの糸は風工房さんがデザインされてたりするのでとても素敵な糸が多いです。

トルコのおばちゃんが染めているURTH(アース)。こちらは草木染めで染めているハーベストという糸です。

ストーリ性のある糸が多いですね。

EYLUL小嶋:シェットランドウールと言ったらジェミーソンズが有名ですがURADALE(ウラダーレ)というメーカーのものがあります。羊たちは景観をそこねない飼い方をされ、糸はナチュラルカラーを中心に染めも牧場の周りで見られる植物の色に近い色に染めています。

アイスランドのニットデザイナーHelene Magunussonさんが作っている100%アイスランドの羊を使った「Helene」(ヘレネ)という糸もあります。

Retrosaria RosaPomar Vovó(レトロサリアロザオーチャードボボ)という糸はポルトガルのオーガニックな糸です。飼育から糸の生産まですべてポルトガルで行われています。
もちろんミュールジングウールではありません。Vovó(ボボ)はポルトガル語でおばあちゃんのことで腕のタトゥーがラベルがかっこいいです。

色や風合いも特徴的ですけどパッケージがナチュラルな素材に合間って手作り感がありとても素敵ですね

編み針はどんなのを取り扱いしていますか?

チューリップさんとちょっとだけ近畿編針(seeknit)、それから中国のHiya Hiyaというメーカーを取り扱いしています。

中国が本社ですがヨーロッパ経由で仕入れています。スチールの針は重かったり滑ったりで嫌いだったのですが、内側が空洞になっているので軽く編みやすいです。また、先のシャープなタイプや丸みがあるタイプもあるので自分が好きなように選べます。

靴下で編むような左右の長さが違う編み針は知っていましたが、先の鋭さが選べるというのはとても珍しいですね。キャラクターのパンダがなんとも良い雰囲気を出しています。

2Fはゆったりとしたワークショップ会場

EYLUL小嶋:海外のデザイナーさん、日本人の作家さん、海外の人が集まるミートアップの編み会など幅広く開催していただいております。

去年west knits(ウエストニッツ)のデザイナー・ステファンに遊びにきてもらって、今年はwest knitsのワークショップを開催していただけることになりました。

2Fもとても広いスペースでここまでしっかりとお店づくりをしているとはデザイナーや作家さんはとても嬉しいですね。

EYLUL小嶋:west knits(ウエストニッツ)さんがよく使われれる糸で、英国発の手染糸Qing Fibre(キンファイバー)という糸があります。

west knits(ウエストニッツ)さんが使いそうな派手で上品な糸ですね!

ラベリーのお店のアカウントもあるんですよね??

EYLUL小嶋:はいあります。デザイナーさんによっては有料でダウンロードして編み図を提供してくれているので、エイリュルのお客様の中にはペイパルやクレジットがいやという方もいるので実店舗で支払いしてデザイナーさんにバック出来るようにしています。

海外糸だから必然と編み図は海外の方が多いですもんね。ラベリー世界中でたくさん使われているとはいえまだまだ知らない、使っていない日本の方も沢山いるので連動して使われているんですね。

毛糸マニアも唸る糸の数々

久しぶりに様々な手編み糸に出会ってとても満足な1日でした。

また、オーナーの小嶋さんご本人ととお店は、のほほんとした空気が時間を忘れさせてくれて「何時間でもここにいたい!」と思えるような空間でした。

繊維業界が縮小していくと共に、高齢化の波もあり小さいな手芸店が潰れて行く中、気軽に立ち寄れる「街の手芸店」を目指したいという小嶋さんのお店は編み物好きな人の「オアシスのような場所」なのかもしれません。

作り手の想いを紡いで、編み物ユーザーに伝えるお店として。また、デザイナーや作家さんが編み物の楽しさを伝えるワークショップスペースとして次の世代にも「編み物」を伝え続けて欲しいです。

大阪にお立ち寄りの方は素敵な糸を肌で触れて素敵な空間に足を運んでみては!

EYLUL(エイリュル)

〒545-0021 大阪市阿倍野区阪南町1-28-25 アメニティ阪南 1F
月・祝日休み 12:00-18:00

オンラインショップ EYLUL yarn

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執筆者 Knittingbird 田沼