ニッティングバード

ニット専門のウェブマガジン

繊維を学ぶ「天然繊維」編

ニット(編み物)は糸1本からデザインすることができ、その組み合わせは無限大です。

単に糸1本と言っても、衣服の裏側についている品質表示(デメリット)を見ると様々な種類の繊維が使われていることがわかります。

今回は以前紹介した、羊などの動物繊維を交えつつ「天然繊維」を学んでいきます。

糸の原料の特性を知ることで糸を一番生かせる編み方やデザインを知ることに繋がります。

また、平成30年4月1日より「家庭用品質表示法」が改正され、一部の表記が変更になりましたのでそちらも順を追って説明していきます。

天然繊維の種類

天然繊維は大きく分けて綿などの植物を原料として「植物繊維」と羊などの動物を原料とした「動物繊維」に別れています。

 

植物繊維

綿


組成表示:綿、コットン
もっとも多く生産されている植物繊維です。肌触りもよく吸湿性も良いので肌着や寝具など夏の軽衣料を中心に作られています。熱にも強く、染色性が良い。洗濯もしやすく、他の天然繊維に比べたら安いというのが特徴です。
麻ほどではないですが、シワになりやすく、縮んだり型崩れすることもあります。燃えやすく、カビがつきやすい繊維でもあります。

麻は人が使っていた最古の衣料繊維と言われています。繊維としての強さが特徴で、天然繊維の中ではダントツで強度があり、吸湿性や吸水性もあり水に濡れると太く強くなる性質があります。シワになりやすい、細い糸が作りにくい、染色が難しく色落ちしやすい、糸の太さを均一にするのが難しい繊維でもあります。以前は麻という表記のみでしたが、「家庭用品質表示法」 改正により亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)という別々の表記することもできるようになりました。

ヘンプやジュードなどの麻繊維は「植物繊維(ヘンプ)」などの表記をしなければなりません。それらの繊維は衣料品より麻袋やロープ、紐などに使われています。

組成表示:「麻、亜麻、リネン」

亜麻(リネン)は苧麻(ラミー)に比べ細く、短い繊維です。比較的柔らかい風合いなので麻の中で一番使われている種類です。

組成表示:「麻、苧麻、ラミー」

苧麻(ラミー)は亜麻(リネン)に比べ太く、長い繊維です。比較的硬く、艶があるのが特徴です。

動物繊維

羊(ウール)


組成表示:羊毛、ウール、WOOL、毛
膨らみ、弾力性、保温性がある冬の代名詞的な繊維です。吸湿性もよく、燃えにくく、シワになっても戻りやすい性質もあります。最大の生産国はオーストラリア。繊維同士が絡み合い、縮んでフェルト化(縮絨)特徴もあり。ピリング(毛玉)が出来やすかったり、繊維が太い種類はチクチクしたりします。

カシミヤ


組成表示:カシミヤ、毛
カシミヤ山羊から取れる毛。カシミヤは「ヒツジ」ではなく「ヤギ」です。ぬめり感と光沢、柔らかさがあり保温性に優れた高級素材。
カシミ【ア】ではなく「カシミ【ヤ】」が正しい品質表記です。

モヘヤ


組成表示:モヘヤ、毛
アンゴラ山羊の毛が「モヘヤ」に分類されます。「アンゴラ」と呼ばれるものはアンゴララビットを指します。獣毛の中でもとても光沢と軽さがあり、吸湿性のある繊維になります。モヘ【ア】ではなく「モヘ【ヤ】」というのが正しい品質表記です。

アンゴラ


組成表示:アンゴラ・毛
普通のウサギより毛足が長く、繊維として使えるアンゴラウサギの毛を指します。独特のぬめり感があり、とても軽いです。
毛が抜けやすいのが欠点ですが、フェルト化もする繊維なので高品質のフェルトとして帽子などにも良く使われます。

キャメル


組成表示:キャメル、らくだ、毛
『キャメル』は主にふたこぶラクダの毛。モンゴルやアフガニスタンに多く生息しています。ラクダのこぶには脂肪(栄養)が詰まっていて、砂漠での長旅に耐えれる体に進化しています。染色性が悪いのでベージュや茶を中心にナチュラルカラーで使われます。

アルパカ


組成表示:アルパカ、毛
ミラバケッソのCMで一躍有名になったはラクダ科の生き物『アルパカ』。短く立った毛の「ワカヤ種」と長く縮れた毛をもつ「スリ種」に分かれます。肌触りが良く柔軟さと、保温性に長けています。ペールに「パコマルカ・アルパカ研究所」というアルパカの繊維製造に関わるすべての人々(遊牧民)に恩恵をもたらすことを目的に設立されています。

毛(⚪︎⚪︎)としか表記できないビキューナ(らくだ)やヤク(うし)、ラマ(リャマ)などのそのほかの獣毛繊維は下記の記事で詳しく説明しています。

普段「編み物」で使っている糸は何の動物の毛から? 獣毛繊維に学ぶ、種類と特性


組成表示:絹、シルク、SILK

蚕の繭から取れる細くて強い繊維。肌触りが良く光沢とドレープ性に富んだ腰がある生地に仕上がります。また染めやすい繊維で発色性も良いので和装の生地として長く使われてきました。吸湿性や吸水性も良いですが、値段が高くデリケートなので洗濯が難しく日光にも弱い繊維でもあります。養蚕が盛んだった群馬県の富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産として登録されています。長野にある岡谷蚕糸博物館(シルクファクトおかや)では宮坂製糸所が博物館内に併設され、実際に生糸を生産している製糸工場を見学することが出来ます。

分類外繊維そして化学繊維

私たちの身近にある天然繊維ですが、それぞれがどんな植物や動物で、どんな場所で育って原料になるのか知らない人がほとんどだと思います。

繊維にはそれぞれ特性がありそれぞれのメリットとデメリットを補うように、混紡されています。

家庭用品質表示法改正により指定用語が変わった「麻」を筆頭に、以前「指定外繊維(⚪︎⚪︎)」と表記していた和紙などの繊維は、「分類外繊維(和紙)」という表記に変わりましたので衣料品を取り扱うメーカーやブランドは注意が必要です。

また、現代では化学繊維も多々使われ私たの生活の中で欠かせない繊維の一つになっています。

次は「化学繊維に学ぶ」ということで再生繊維と合成繊維、半合成繊維、無機繊維のお話をしたいと思います。


関連性の高い記事