ニッティングバード

ニット専門のウェブマガジン

70年続く温かい街の毛糸屋さん キューピー毛糸店(大阪高槻)

大阪は高槻の商店街にある毛糸店「キューピー毛糸店」に行ってきました。

70年近く続く街の毛糸店として代々受け継がれ、現在では2代目の石津有一さんから3代目の孫姉妹が引き継がれ編み物の楽しさを伝えています。

キューピー毛糸店の歴史

まず初めに2代目の石津さんにお話を聞かせて頂きたいです。キューピー毛糸店の始まりを教えてください。
石津有一:私の祖父が小さな商社として毛糸の貿易をしていました。戦前の話ですが日本の大小の商社が中国に進出した時代で、ヴィクター毛糸などの日本の毛糸を中国の満州や上海向けに販売していました。もともと淡路島の出身でしたが大阪の本町に会社構えてました。

毛糸店としてはとても面白い歴史ですね!

石津:祖父の娘である私の母と公務員だった私の父との結婚の話が出ましたが、当時の公務員は今ほど安定した職業ではなく給与も安いからという理由で結婚を大反対されたそうです。
それでも反対を押し切り高槻に来ましたが、戦後でただでさえ苦しい時代により苦しい想いをさせたくないと、祖父が見かねて「お金は貸さないけど毛糸を貸し出すから毛糸屋でもやったらどうだ」という提案でキューピー毛糸店が始まりました。

とてもドラマティックなお話ですね。戦後はやはり毛糸が売れていた時代なのでしょうか?

石津:当時はまだ既製品が少なかったので、服は自分で作らなければならない時代でした。母親が家族全員のセーターを編んでは解き、買い足してまた編み直すということが当たり前でしたので、戦後からバブル前までは右肩上がりの業界でした。

初めは中細のかせの毛糸しかない小さなお店から始まり、大きくなるにつれて従業員が増え、住み込みで育児とお店の両方を手伝って貰っていました。その人たちとは今でもお付き合いがあり、ニッターさんやキューピー毛糸店二階の教室の先生として活躍されている方もいらっしゃいます。同じ商店街で2回ほど移転して今の場所になってから50年ほど経っています。

石津さんはキューピー毛糸店に働く前にはどうしていましたか?

石津:僕は長野県で働いていて、80年代に母親が病気になってから2代目として高槻に戻りました。僕が戻るまではキューピー毛糸店は個人商店でしたが有限会社として運営して去年娘に引き継ぎしました。
キューピー毛糸ではどのくらの人が働いていますか?

石津:家族経営で、パートさんも含めて全員で9名働いています。

路面店以外にもECに力を入れているようですが、ヤフーショッピングのオンラインショップはいつからやっているのでしょうか?
石津:1995年くらいから独自のオンランショップを使って販売していましたが、母からECモールに出店した方がいいのでは?と言われ1999年からヤフーショッピングに出店しています。

また4年くらい前から英語版とヤフーショッピングを運用していて、今では海外の方が販売比率が多くなっています。

ECに早々と目を付ける先代の先見の明は素晴らしいですね。また国内だけでなく海外売り上げが多いとはビジネスモデルとしてとても面白いです。

石津:英語版の運営は、海外に留学していてイギリス人の方と結婚した娘(3代目西崎彩子の妹)に任せています。

海外にはどのような国へ発送しているのでしょうか?
ハバードなぎ子:香港やシンガポールを中心にアフリカ以外様々な国に出荷しています。
圧倒的に多いのはハマナカさんの「エコアンダリヤ」が多いです。

海外向けに「エコアンダリヤ」の毛糸が売れているの何か理由があるんでしょうか?

ハバードなぎ子:海外に類似品が無いということと、本やネットで掲載される作品にエコアンダリヤの掲載率が高いのではないかと思います。もちろんメイドインジャパンのネームバリューも大きいのではないでしょうか。

海外の方は翻訳された本を読んでいるのでしょうか?

ハバードなぎ子:日本ヴォーグ社の「毛糸だま」は海外用に翻訳されていますが、それ以外はあまり聞かないので日本語で書かれた本を見ている方が多いかと思います。
かき針のJIS記号で書かれた編み図なら理解できる外国の方は多いみたいですね。

海外では野呂毛糸が圧倒的に売れているイメージですが、日本製の毛糸や手芸本も注目されているんですね。

今現在取り扱っている毛糸を教えてください。
西崎彩子:日本のメーカーのダイヤさんやハマナカさんパピーさんを中心に600種類近い糸を取り扱いしています。

オススメはどんな糸ですか?
西崎:パピー毛糸さんの輸入特注糸のカティアのシルクディグレイドという糸です。日本には無い美しい色彩のグラデーションが魅力です。

それからこの子猫のような肌ざわりの「シャーナ」ですが、キューピー独自で輸入した糸です。 名前を考えるときに、猫のように可愛い幼馴染の顔が浮かび名前を使わせてもらいました。彼女はアメリカ人と日本人のハーフですが、性格も猫っぽいんですよ。^^

こちらのWoolly Hugs Plan(ウーリーハグズプラン)はプランドプーリング用としてぴったりの糸です。

父がネパールに行ってきて仕入れてきた糸もあります。

想い入れのある糸とかありますか?

西崎:パピー毛糸さんのロングセラー商品「ブリティッシュエロイカ」は発色がキレイなお気に入りの糸です。 毛玉が出来にくく洗濯にも強く劣化しにくいにで私のクローゼットにも今まで編んだブリティッシュエロイカの作品がたくさんあります。

編み針はどのようなタイプを取り扱いしていますか

西崎:ドイツのaddi、クロバー、ハマナカ、それからチューリップも置いています。

お客様はどのような方が来られますか?
西崎:小学生から80代と幅広く、高槻だけでなく神戸や京都、他府県からも遊びに来てくれるお客様もおられます。

聞けば聞くほど素敵なお店ですね。今後キューピー毛糸店をどのようなお店にしていきたいですか

西崎:今のキューピー毛糸店ですが頼りない代表の為(笑)スタッフにすごく恵まれいつも助けて貰ってばかりです。昔からのお客様も新しいお客様にも身近な存在として見て頂き毎日毎日とても楽しく働かせて頂いております。
楽しく働けるのもお客様やスタッフありきですのでそこを一番大切にして行きたいと考えております。
将来的には一階は今までのスタイルのまま二階にこだわりの毛糸、オリジナル毛糸などのショップをオープンしたいと考えております。
日々楽しくが私の活力ですのでお客様にもスタッフにも楽しい空間であり続けたいと思います。

受け継がれる想いと編み物への愛

1954年創業以来、家族経営として毛糸店が受け継がれ今では創始者の孫姉妹がその想いを受け継いでいます。多くの毛糸店やニット工場が高齢化や後継者問題に悩み、店終いを余儀なくされている昨今「キューピー毛糸店」のようにオンラインショッピングや海外販売にも力を入れている毛糸屋さんはとても貴重です。

「キューピー毛糸店」はドラマに出来るような面白くも温かいストーリーがあり、先代からの想いを3代目として西崎さんや妹のハバードなぎ子さんが受け継いでるとても素敵なお店でした。

昨年に引き続き9月1日にハマナカが主催している「あみだおれフェス」をキューピー毛糸店で開催するそうです。前回は90名を超えるお客さんが来店したそうで是非キューピー毛糸店に足を運んでみてはどうでしょうか。

出張あみだおれフェスwithキューピー毛糸店

執筆者 Knittingbird 田沼

キューピー毛糸店

住所 〒569-0803 大阪府高槻市高槻町16−19

TEL/FAX 072-686-2770

メールアドレス info@kyupi-keito.co.jp

営業時間 月曜〜土曜 10:00〜18:00 定休日:毎週日曜

キューピー毛糸店 オンラインショップ

この記事をお気に召した方は下記の記事もオススメです!

大阪阿倍野の毛糸屋さん「EYLUL」(エイリュル)

作り手の情熱を支えるクラフトショップ 「 ておりや 」

手織りのスペシャリスト、天然素材のオリジナル糸専門店「東京アートセンター」


関連性の高い記事