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シエロの染色体験

以前ニッティングバードの記事でご紹介させていただいた「手染め糸専門店 CIELO(シエロ)

独特な表現による色彩と、女性ならではの感性で絵を描くような染色方法で一点モノの糸を作るシエロ。今回はそんな創作意欲の湧く糸を作る「シエロ」の染色の秘密について迫ります。

*糸の産地や染色剤の種類、助剤名、手法などは企業秘密もあるので隠してあります。

原料になる糸や染色材はどこで手に入れていますか?

-原料になる糸は、国内の糸商から仕入れています、中には別注で作っていただいている糸もあります。染料は老舗染料店の染色剤を使っています。染色自体は色々なワークショップにも参加しましたが独学で勉強して独自の染色方法を編み出して使っています。

こんなに綺麗に染めているのに独学とは意外ですね。染色はどのようにして始めますか?

-染色剤は基本的には赤、青、黄色、黒の4色を使い混ぜ合わせて色を作ります。暑いお湯に染色剤で色を作り、そこに定着剤と浸透剤を少量混ぜて染色の準備をします。

-色を作るのはその時の気分が大きく作用します。染色しながら聴く音楽はとても重要で、ゆったりとした音楽の時は落ち着いた色味になったり、激しい音楽を聴いている時はいろんな色を混ぜたりするようになります。

気分や感情を表に出して染色するのは気持ちが良さそうですね。染色時のコツを教えてください。

-ポリボトルの容器から染色剤を少しずつ出して糸に吹きかけていきます。熱湯を入れているので、容器から急に吹き出すことがあるので火傷しないように気をつけて下さい。


-染色剤を糸に吹きかけた後に揉み込と糸の芯の方まで綺麗に染まります。あまり強く揉んでしまうとウールなどは縮んでまうので注意が必要です。

ポリボトルの容器にそこら少しずつ液体を出すことで絵を描くように染めることができるということですね。


-染色後は一度ある程度の温度に下がるまで放置します。他の色を混ぜる場合はこれを順番に繰り返し色を重ねていきます。

かせ糸を熱湯に浸して加熱しながら染色するという方法が一般的だと思いますが、染料を定着するために独自の方法をとっているのですか?

-シエロの染め方はいわゆる染色物全体を染液に浸して染める「浸し染」ではありません。ですので浸さずに定着させる”ある裏技”を使っています。

なるほど裏技・・・えっ、糸をこんな風にして定着させるんですか?意外すぎてビックリしてます!

-独学でこの手法を編み出しました。

残念ながら、染色の定着手法はお見せできませんが、この方法は長年染色をやっている人ほど発想できないアイディアだと思います。固定概念を崩すような染色・そして定着方法ですね。海外糸を含め多くの『手染め糸』を見てきましたが、シエロの糸には他にはない唯一無二の色彩の表現は、「浸し染め」ではない手法で定着する、その独自の手法がシエロの糸を作るのにとても重要なんですね。もっともっとこの謎を解きたと思っていましたが、これ以上詳しくここでは語ることができません!

-ぬるま湯で押し洗いをして→すすぎを繰り返し、染色剤など余分なものを落として水が完全に透明になるまで繰り返します。この1回目のすすぎの後でウール素材を染色する場合は色落ち止めのためのウールフィックスを使います。


染色→工程を経て→すすぎ
-脱水→すすぎ→脱水→最後に柔軟剤を入れて仕上げます。

-最後に屋上で直射日光で干して終わりです。本当は日陰の方が良いとされていますが、耐光堅牢度のチェックを兼ねて直射日光に干しています。

最後の干し方もシエロ流で素敵ですね。今回は染色の体験させていただきありがとうございました。

カラーセラピーのような染色体験

あっという間に染色体験が終了しました。今まで普通の糸染めや製品染めなどは体験したことがありましたが、浸し染めではない独自の染色技法はとても面白い体験になりました。自分の色を出すということは、カラーセラピーのように『自分自身とは何か』を自問自答しているように感じられ、糸を選んで編み物をすることとは違い、一から糸を作る体験はまた違った楽しみがあります。

シエロの二人は染色をする時は多くて70から80カセほど染めるようです。染色体験に行った時には、1かせ1かせ大事に染めていました。劇団四季の『キャッツ』の舞台を観てきたのでそれに影響を受けたようなちょっと派手な色の糸が出来上がっていました。

またCIELOでは『染めの認定講座』を設け、CIELOの独自の染色手法の一部が体験できるそうです。ワークショップだけでは体験できない、もっと深い部分まで「染色の理解」が出来るので、参加したら染色にどっぷりとはまってしまいそうですね。