みなさん今日も編み物していますか?
私たちニッティングバードでは「編み物」を語る上で、ニット業界の取引先や、お仕事仲間、ワークショップなどで「どういう系統の人が多いのか」個人的に統計を取ってきました。
その中でわかりやすい統計もあれば、一過性のない常に変化し続けていることがあることも。
自分自身も年を重ね、様々な経験をするにつれて、食べ物や、見るもの、やることが少なからず変化してきました。
そのように、編み物の趣味・趣向も「時代」とともに変化していることがあります。
今回は、「英語パターン」を紐解き、「編み物好き」の脳の中はどうなっているのか?に迫っていきたいと思います。
編み物好きは理系脳が多い!?
今まで「編み物好き」は「理系脳」が多いとされてきました。
その理由として、編み物は目数や段数など編んだ回数をカウントすることが多く数字的な要素が大きいことと、頭の中で立体を想像し→それを形にする能力は「理系脳」の方が得意だと言われてきたからです。
僕自身、幼少期はミニ四駆やプラモデルにどハマりして、比較的数学も得意でした。
私たちの周りの編み物をやっている人たちの統計を取っていても文系より理系が多いという事実もありました。
編み物の英語パターン好きが増えている。
ここ数年で、編み物の「英語パターン」が愛好者が増えています。
日本語パターンではJIS(日本工業規格)の編目記号を組み合わせて編み図として作り方を説明しています。
補足として文章が入ったりする場合はありますが、基本的には編み図を見ると完成までできるようになっています。
それに比べて英語パターンでは。文章や省略文字+数字で形成されます。文章にすることで編み図では表せない複雑なことを表すことも出来ます。
つくり目の編み方、前段の編み目にどのように編むのか、◯◯をすくってとというように、スタートのつくり目から1段目、2段目と順番に説明して行きます。
Begin with sliding loop.
Row 1.
6 Sc’s
Row 2.
2 Sc’s in each stitch. 12 Sc’s
Row 3.
Increase one by working 2 Sc’s in next stitch,
1 Sc in next stitch. Repeat frm around row. 18 Sc’s
このような英語パターンが日本で多く広まった背景には2018年現在世界で800万を超える会員、100万人がアクティブユーザーとして、毎月パターンをダウンロードしている「Raverly(ラベリー)」というサイトの影響が大きいと考えられます。
このサイトは無料のパターンと有料パターンがダウンロードとアップロードをすることが出来、またデザイナーや糸からも検索することもできます。編み物に関する様々な情報が集まり、さらには交流の場所としてもコミュニティーもあり交流の場所としても機能しています。わからないことがあれば有志のボランティアがサポートもしてくれる優れもの。
「Lost in Time」のショールに学ぶ英語パターンの魅力
編み物をやっている人なら知る人ぞ知るパターンJohanna Lindahlさんデザインの「Lost in Time(ロストインタイム)」のショールは世界中でシェアされ世界中の人に愛されています。
この英語パターンの作品を紐解いて見ると、日本語の編み図とは違った感性で楽しむことが出来ます。
日本語の編み図に慣れてしまった人は、一見文章だとわかりづらいという人もいますが、ここ一年ほど英語パータンを愛好している人に理由を聞いて見ると下記のようの理由が挙げられることがわかりました。
日本語のパターンの多くは「編み図」を見ながら「糸が立体になり形をつくるのを楽しむように」視覚的に編み物をするような「理系脳」に近い人が楽しめるような仕組みなっているのではないかと思われます。編み図で編むということは、編み方と編み図双方の理解と、編む順番を追えるスキルが必要になります。
また、海外の英語パターンやこの「Lost in Time(ロストインタイム)」などは、文章を読んだり音楽を奏でるように「リズム」や「テンポ」が重要で、形を作ることより、「編み行為そのものを楽しむ」っという感覚的な編み物をする「文系脳」に近い人が楽しめるような仕組みになっているのではないかと思われます。
苦手だと思っていた「文系脳」の人も英文パターンで
このような海外パターンの魅力に気づくことで、実は「理系脳」の方がハマりやすいと考えられていた編み物ではなく、苦手だと思っていた「文系脳」の人も実はアプローチを変えることで編み物を楽しむことが出来ます。
また「Raveryラベリー」の影響もあり海外パターンをダウンロードし作品を作る人が増え、日本人のニット作家やデザイナーも自分のパターンをラベリー上に公開している人も増え続けています。
今後、作家やデザイナーの息遣いや想いが、編む時の「リズム」や「テンポ」を通じて「文系脳」の人でも楽しめるような作品が増えてくることが必要だと思っています。
また、日本語の編み図パターンでも、「リズム」やテンポを感じられるものももちろんありますし、海外でもJIS記号を使い編み図におこして使っているパターンもあるので「理系脳」も「文系脳」も関係なく様々な人が楽しめるようなパターンが生まれていってもっともっとニット業界が盛り上がっていけたらなと思っています。
執筆者ニッティングバード田沼