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ニットを玩具(おもちゃ)のように身近に「KNIT GANG COUNCIL(ニットギャングカウンシル)」

以前ニッティングバードの記事で紹介させていただいた、狂い編みサンダーニットこと「編み物☆堀ノ内」(堀ノ内達也)さんが精巧なフィギュアで有名な「メディコムトイ」さんと一緒に新しいプロジェクトを立ち上げました。

以前の編み物☆堀ノ内さんは以前のインタビューを見るとより今回の記事をより楽しんでいただけると思います。
家庭機で編むユニークなグラフィックニット、『編み物☆堀ノ内』さんインタビュー


Knittingbird田沼(以後田沼):2回目のインタヴューを受けていただきありがとうございます。以前「ロックTシャツのように量産できるセーターバージョンのようなものを作っていきたい」と仰っていたのでこの企画を聞いた時とても楽しみでした。また、メディコムトイさんのkaws(カウズ)のフィギュアは昔集めていたので個人的にもとても嬉しいコラボです。KNIT GANG COUNCILが始まった経由と、名前の由来を教えてください。

編み物☆堀ノ内(以後堀ノ内):メディコム・トイの社長の赤司竜彦さんがSNSで私の作品を見て興味を持ってくださり、お問い合わせをちょうだいしたのがきっかけです。そのときに、何か一緒に作りたいとお誘いいただきました。打ち合わせを重ねるうち、岡村靖幸さんのコラボの時に初めて作った自動機のニットのような、量産しやすい製品を作ることに決まりました。KNIT GANG COUNCIL(ニットガングカウンシル)というブランドネームは、赤司社長がいくつか出してくださった案の中から選ばさせていただきました。


田沼:GANGという単語がガング(玩具)とも読めるのがメディコムトイさんらしくて素敵ですね。

田沼:2019年に2月第一弾として永井豪さんの「デビルマン」と空山基さんの「SEXY ROBOT」とのコラボはどのような経由があったのでしょうか???

堀ノ内:メディコムさんからのご提案です。もともとメディコムさんは永井先生と空山先生とのコラボ商品を数多く作ってこられたというご縁がありました。
永井豪先生の作品はものすごい好きで、とくに「デビルマン」と「バイオレンスジャック」は数え切れないくらい何度も読み込みました。本物の天才だなと思っています。子供の頃には、ダイナミックプロに入って永井先生のアシスタントになりたいと本気で思っていたくらいです。
空山基先生も尊敬しています。PCで絵を描く時代になるずっと前から、エアブラシであのように精巧な絵を描かれていたというだけでなく、ロボットでメタリックなのにセクシーという圧倒的な独創性に圧倒されていました。おふたりとも私にとってはたいへん偉大なアーティストなので、このコラボが実現できたことはとてもうれしいです。


田沼:僕は年齢的にデビルマンは世代ではないので地上波アニメは見たことなのですがネットフリックに入ったきっかけが「デビルマン Crybaby」で一瞬で心を奪われました。空山基さんはディオールとコラボしたりと最近ではファッション方面でも活躍してて目が離せないですね。

(上)「時計じかけのオレンジ」のセーター。¥27,000/KNIT GANG COUNCIL (下)「シャインニング」のセーター。¥27,000/KNIT GANG COUNCIL(全て税抜価格)

田沼:第二弾のメインアイコン映画の「時計仕掛けのオレンジ」と、「シャイニング」は堀内さんの好きな映画なのでしょうか?

堀ノ内:赤司社長がお好きな映画ですが、ともに私も大好きな作品です。「時計じかけのオレンジ」は高校生のときに電車を乗り継いで名画座に行き何度も観ていましたし、VHSもブルーレイもDVDも持っています(笑)。両作品ともメディコムさんがベアブリックで商品化の実績をお持ちなので、編み物のプロジェクトもスムーズにおこなえたようです。

「時計じかけのオレンジ」のニット・ブルゾン。背中にアレックスの編み込みがある。¥32,000(税抜)/KNIT GANG COUNCIL

「時計じかけのオレンジ」のマフラー。¥12,800(税抜)/KNIT GANG COUNCIL


田沼:第一弾に比べ第二弾のアイテムを見るとセーターだけでなくマフラーなどの小物が増えましたが何か理由はありますか?

堀ノ内:赤司社長は服をコレクションしておられるくらいのファッション好きなので、セーター以外のアイテムにも挑戦してみないか?とご提案いただきました。それを受けて今回は、ブルゾンやマフラーなど、セーター以外のアイテムが増えました。メディコムさんはおもちゃのイメージが強いと思いますが、Tシャツなどのファブリック製品も販売しています。KNIT GANG COUNCILも、メディコムさんのなかでアパレルや日用雑貨を扱う部門の1レーベルになります。

「シャイニング」の1シーンで印象的なカーペットの柄をモチーフにしたマフラー。¥12,800(税抜)/KNIT GANG COUNCIL

田沼:アパレルもやっているとは知らなかったですね。実際どこで購入はできるのでしょうか?

堀ノ内:メディコム・トイさんの公式オンラインショップやZOZOTOWN、ヤフーショッピングや楽天でも購入できます。

「シャイニング」に登場する双子の幽霊がモチーフのマフラー。¥12,800(税抜)/KNIT GANG COUNCIL

田沼:岡本康幸さんのライブグッズでニットセーターを作ったのを皮切りに、家庭機ではなく自動機で量産アイテムも増えたと思いますが自動機で作る際のメリットとデメリットを教えてください。

堀ノ内:家庭機ではセーターを作る場合デザインにもよりますが、どんなに急いでも1〜2週間かかってしまいます。
自動機は生産性が良いとともに、ハイゲージ(目が細かい)で出来るのが魅力ですね。家庭用編み機では5GGくらいが限界なので、自動機は細かいところまで表現できて、より写真に近づきます。
また、自動機で編む場合ダブルジャカードなので、インターシャ編みで出来たらより嬉しいです。
色数にも限りがあるのも残念ですね、家庭機では多いときでは20色くらいは使いますので。

田沼:僕もダブルジャカードの編み地より、インターシャの目面の方が好きですね。
インターシャの方が編むのが難しいので工賃が上がってしまう問題があるのと。自動機の色数は一段におけるブロック数によって決まり、その数だけキャリッジも必要なので限界があります。一段に6色使っていても実はキャリッジはもっと使っていることが多いです。堀内さんが家庭用編み機でやっていることは工業機で再現はほとんど不可能になっています。


田沼:今後コラボしたいアーティストや映画などがあれば教えてください。

堀ノ内:矢沢永吉さんです。もともと大ファンで、矢沢さんを編み込んだ自作のセーターを着てライブに行ったことがあるくらいです。いつか是非オフィシャルで使っていただきたいですね。


堀ノ内いつも次何を編もうかなって考えているので、いろんな人とコラボしたいと思っています。アーティストなどでもいいですし、アパレルの方とのコラボもいいかもですね。

人を雇ったり、家庭機のアイテムを量産しようとは考えていないのでしょうか?

堀ノ内人雇ってしまうと、自由にできなくなってしまうので今の所考えていません。

海外アーティストモチーフで作っているので今でも販売先は海外の方が多いのでしょうか?

堀ノ内家庭用編み機でのハンドメイドのご注文は、半分以上海外の受注です。SNSなどを通じて見た方がわざわざオーダーしてくれます。
グラフィックデザインからニットの道へ来て始めた時は、こんな展開は予想もしませんでした。SNSってすごいなって思います。

田沼:ニットが玩具(おもちゃ)のようにより身近になっていくような感じがしてとても素晴らしいと思います。堀ノ内さんの自身の活動もKNIT GANG COUNCILも今後の展開が楽しみですね。今回はインタビューありがとうございました。

グラフィックからニットへ。ハンドからマシンメイドへ。

グラフィックデザイナーを本業としている「編み物☆堀ノ内さん」ますますニットの作品を増えニットだけでなく様々な分野で評価され続けています。

編み物を通して普段会えない人に出会い、さらにはハンドニットだけでなくマシンメイドのニットを通してアーティストとコラボする機会がどんどん増えていく。

このまま自分の道を突き進んで、いつかニットが本業になってもっともっと面白いものを作り続けて欲しいと思います。

狂い編みサンダーニット
編み物☆堀ノ内
1967年 神奈川県相模原市生まれ。桑沢デザイン研究所卒業
編み物☆堀ノ内HP

執筆者 Knittingbird 田沼